2010年11月15日

宝瓶宮福音書は悪霊の作である

さて、「マシュー君」に続いて『宝瓶宮(ほうへいきゅう)福音書』についても触れておきたい。もっとも、それを手に取る人など滅多に居るものではないから、ごく軽く触れるにとどめる。私もよく知らないし。

そう、私もよく知らない。けれど、「マシュー君」が信頼に値しないものであることは二、三のことを調べれば直ぐに大して訳なく分かるように、宝瓶宮福音書についても同様だろう。「詳しく」というほど詳しくは調べる必要はないだろう。

私は、これを「アカシックレコード (The Akashic Records)」という語を中心に見ていくことを提案する。


リバイ・ドーリング


宝瓶宮福音書 (The Aquarian Gospel of Jesus the Christ) を書いたのは、アメリカのリバイ・ドーリング (Levi H. Dowling, 1844 - 1911) という人である。

しかし、「書いた」とは言っても、彼はその内容を瞑想の中で「アカシックレコード」という "宇宙の記憶貯蔵庫" みたいなものから写し取った(書き取った)のだそうである。

Wikipedia の「Levi H. Dowling」の項には、次のようにある。

Dowling wrote The Aquarian Gospel of Jesus the Christ (full title: The Aquarian Age Gospel of Jesus, the Christ of the Piscean Age) in the late 19th century and published it in 1908. He claimed it was the true story of the life of Jesus, including "the 'lost' eighteen years silent in the New Testament." Dowling claimed to have transcribed it from the Akashic Records.
ドーリングは19世紀後期に『イエス・キリストの宝瓶宮福音書』(フルタイトル:『イエス --- 双魚宮時代のキリスト --- の宝瓶宮福音書』)を書き、1908年にそれを出版した。彼は、それはイエスの生涯の真実の物語であり、「新約聖書では触れられていない『失われた』18年」を含んでいると主張した。ドーリングはそれをアカシックレコードから写したと主張した。


神智学協会、ブラバツキー夫人


Wikipedia の「アカシックレコード」の項を読めば、この語が圧倒的に神智学協会、オカルティスト達のものであることが分かる。

「アカシックレコード」の直接の原型はブラヴァツキー夫人(Helena Blavatsky。1831 - 1891年)著作「シークレット・ドクトリン」の中の「生命(いのち)の書」(the Book of Life) であり(…)

ブラバツキー夫人はルシファー崇拝者であることを思い出して頂きたい。(既出参照


エドガー・ケイシー


同じく「アカシックレコード」の項には、エドガー・ケイシー (Edgar Cayce) の名もある。(以下引用文中の下線は管理人)

(「アカシックレコード」として)一般的に話題に上るものは、暗黙的に、様々な問いかけに回答するエドガー・ケイシーのものを指している。(…)
アカシックレコードという概念は、地元名士の娘の治療を行ったことで、米国の新聞記事で取り上げられたエドガー・ケイシー (1877 - 1945) の名前とともに改めて知られるようになる。

異存はない。私にも覚えがある。この語を私が初めて知ったのもエドガー・ケイシーの本によってであった。

しかし、Wikipedia は続ける。

エドガー・ケイシーは神智学者アーサー・ラマース (Theosophist Arthur Lammers) に導かれて、過去に疾病の治療に用いていたものを、神智学を応用するが如く人生の苦悩、輪廻転生やカルマの問題へ応用を広げている。

彼も神智学協会と無縁ではなかったのである。

それどころか、「さてはてメモ帳」さんが林陽氏の驚くべき文章を紹介している。特筆すべきものであるから、枠で囲もう。

そして、第二次世界大戦という混沌が起こった。当時の有名なチャネラーだったエドガー・ケーシーは、「混沌から秩序」の方程式を知っていたようだ。彼は終戦の四年前にこう予言している。

「フリーメーソンの秩序に代表される普遍的思想を持つアメリカ主義が、世界情勢を解決する究極のルールになる。世界中がメーソンになってくれるわけではない。だが、メーソンの採用する原則に基づいて、一九四四年、四五年に平和の新秩序が設置されることになっている」

これは、国連設置を指した「当たり」予言として紹介されているものだが、メーソンが国連の指導原理になること、それが「新世界秩序」をつくることに彼が期待をかけていることを示す、重要な言葉だ。いったい、彼のチャネリングの源は何だったのだろうか?


国連が良いものだと信じている人には受けが悪いだろうけれども。

ソフトニューエイジの生みの親、エドガー・ケーシーは、健康相談では優れた力を発揮したが、その思想は、キリスト教の衣で覆った神智学だった。彼も、クンダリーニを目覚めさせることをしきりに説いていた。ケーシーの一番の財政支援者であったデーブ・カーンというユダヤ人富豪は、戦時中にロスチャイルドの右腕として働いた高位のメーソンだった。彼は、メーソンの神殿からケーシーヘの補助金が出ていたと自叙伝に記している。


これが、林陽氏だけなら、人は「ああ、変わったことばかり書いてる人だから」とか何とか言って済ますことができるかも知れない(林さん、ごめんなさい、私はそうは思ってませんから)。けれど Wikipedia までがケイシーと神智学協会との繋がりを言っているのである。そして、神智学協会とフリーメーソンは極めて密接な関係にあるだろう。だから、ケーシーがフリーメーソン員あるいはフリーメーソン支持者だったとしても、少しも不思議ではないだろう。

以上三者の生きた時代を見てみよう。

ブラバツキー夫人 1831 - 1891年
リバイ・ドーリング 1844 - 1911年
エドガー・ケイシー 1877 – 1945年

同時代である。しかも、ブラバツキー夫人は下の二人にとっていい感じの先輩である。
これはこの時代の一つの「潮流」であったろう。潮流を起こすのは、私の考えでは、地上の人間ばかりではない。

目的は? ------- もちろん「聖書を書き変える(改変する)」ことである。地上の神学者たちは、悪魔にほだされ、考古学をもって色々と聖書をいじって来た。しかし、そこにはある程度限界がある。けれども、アカシックレコード! これは万能である。これさえあれば、悪魔は、何でもござれ、白紙に捏造、大自由である。


マシュー君


さて、マシュー君は「アカシックレコード」について何か言ってないだろうか。

ありました。マシュー君メッセージの最新版で出て来ました。何ともタイミングのいい(?)

30. そして、ニルヴァーナの住民たちのスピリチュアル(霊的)な進化の到達レベルは地球の住人たちのレベルと一致しています。地球のための霊界として、その人生が "よい"、"平凡"、"悪い" とにかかわらず、そこが地球の住人たちの肉体死後の一つ目の駅です。一人ひとりの考えや動機そして行いのエネルギーがその人生を通して瞬間瞬間にアカシックレコードに記録されます。その総合エネルギーが、その人の人生のエネルギー記録に対応するニルヴァーナの部分へと自動的にその人を引き寄せます。


結論

だから、
どうすれば、
このような「繋がり」を見逃すことが出来るのですか?


(なんか、カバラの「生命の樹」みたいになっちゃいましたがw)

明らかじゃないですか。

で、まだ問題が残っているとすれば、前回「フリーメーソンは悪魔の会堂である。これを大前提とする」と書いたように、

そもそもフリーメーソンなるものは本当に悪魔の会堂なのか、
それとも単なる友愛団体であり善の組織なのか、

そもそも「ルシファー」なるものは本当に居るのか、
居るとして、それは通常のキリスト教の言うように悪の頭目なのか、
それとも多神の中の一善神、あるいは創造主そのものなのか、

ということです。これらの質問がすべての根底にあります。出発点。だから、この問題を解決しないと、私が今まで3回にわたって書かせてもらったことも「プチ宗教戦争の一情景」か「他者の趣味嗜好への余計な口出し」のようにしか見えないであろうことは確かなことです。